元プロテニス選手の松岡修造が4回転アクセスに挑戦する羽生結弦を取材した動画です。映像はテレ朝newsのYoutube公式チャンネルで配信されたものです。

(7分)

0:10 松岡修造:「本当に久しぶりなんですけど、一番僕の心の中にあるのはすごく心配というか。世界選手権のフリー見てて、大丈夫ですか?体的な部分も、今どんな思いでしょうか?」

0:52 羽生結弦:「体は問題ないですし、世界選手権のダメージや疲労はあると思うんですけど、しっかり前を向いて進んでいます。自分が滑ることによって、感染リスクが大きくなってしまうんじゃないかという思いももちろんありますが、自分が滑ることの意味を再確認できた。僕が滑ることによって、何かのためになるのであれば、滑りたい」

1:28 松岡修造:「特にこのコロナっていう一年間以上、苦しい思いを羽生さんもされているし、どんなところを大事にされたんでしょうか?」

1:40 羽生結弦:「試合やショーがなかったのも含めて、モチベーションが完全に4回転半になっていたと思います」

1:50 松岡修造:「ある意味、このコロナっていうものが4回転アクセルを呼び込んできた感じになっているんですか?」

1:58 羽生結弦:「そうですね。時間があったからこそ、集中して4回転アクセルというものにチャレンジできてました」

2:30 松岡修造:「その4回転アクセルは、今どの辺まで来ていますか?」

2:40 羽生結弦:「まだおりていないので、話になっていない。本当におりれないんですよ。本当に難しくて、一日の練習が2時間だとしたら、1時間45分は確実に4回転アクセルに使っていた日もあります」

3:00 松岡修造:「失礼なこと言いますよ。それで1回も跳べないんですか?」

3:04 羽生結弦:「跳べないですね。トライとしては1000回を超えていると思うんですけど。本当に死にものぐるいでやって跳べていないんですよね。人間の可能性って、そんなに『本当にできるのかな?』という気持ちはあります」

3:26 松岡修造:「五輪3連覇を願っている、信じている者として、対ネイサン・チェン選手になってきます。彼ずっと負けてないですから。4回転アクセルはちょっと置いておいてくれないかと。練習すればするほど体も痛めるし、トリプルアクセルも跳べなくなるくらいリズム崩したって言っていたじゃないですか」

3:54 羽生結弦:「そうですね。崩れますね」

3:56 松岡修造:「じゃあ、どうしてしますか?」

3:58 羽生結弦:「4回転アクセルを跳びたい根本は“納得したい”です。自分自身が胸を張って『これが最高の羽生結弦の完成形だ』『理想の羽生結弦だ』という所にたどり着きたいのが、多分その中の一部が4回転アクセルなんです。だから、今まで4回転アクセルを『おりればいい』『成功すればいい』『世界初の着氷者になればいい』って思っていた。そうじゃなくて、完璧な、すごく難しいですけどね。具体的に『完璧って何だ?』って言われたら、時間が収まらないくらい語れてしまう。とにかく、4回転アクセルも含めた、ランディングも綺麗に流れのある演技をしたいなって思います。」

4:48 松岡修造:「僕は羽生さんをずっとインタビューしていて、必ずついてくるのは、フィギュアってスポーツ、勝負なんだと。そう考えた時に、勝ったものがないと納得しないものなんでしょうか?」

5:06 羽生結弦:「フィギュアスケートは採点競技。スポーツでありながら、芸術をはらんでいるものだと思うんですよね。だから、スポーツとして極めたいという理由で、4回転アクセルを跳びたいということももちろんあるんですけど、芸術としても4回転アクセルを跳びたいっていうのがあるんですよね。最終目標は、4回転アクセルを含めた完璧な形のプログラム。そこを表現しないと自分自身が納得できないと思います」

5:54 羽生結弦:「昔はがむしゃらに『3回転アクセルの延長線でがんばってやれば回れるんじゃないか』って感じとかあったんですけど、最近、4回転アクセルはまず、跳び方が違うんだっていうのを感じ始めた。その跳び方がやっと4回転半らしくなってきたんですよね。だから別物のジャンプとして考えていますけど、やっとその段階までは行けたなと思っています」

6:25 松岡修造:「羽生さんは、目標を決めたら必ずできている」

6:30 羽生結弦:「“絶対にやってやるんだ”という気持ちはあります、表面上は。でも本音はどうかと言われたら、崩れ落ちそうな時もあります。でもたぶん思うんですよ、皆さんそういう心が弱い時とか、つらい時って絶対あるじゃないですか。もう何もかも投げ出したいなとか。