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羽生結弦さん「Echoes of Life」ツアー完走、直後に語った想い

羽生結弦さんが、単独公演・ICE STORY第3弾「Echoes of Life」ツアーの最終公演を終えた直後、囲み取材に応じました。関わってくれた人々への感謝、ショートプログラム「バラード第1番」の難しさ、そして主人公ノヴァに込めた「孤独」と「祈り」について、全7公演を走り切った実感とともに語っています。

動画の主な内容

  • 00:00 ツアーをすべて終えた今の気持ち
  • 00:40 自ら執筆・出演した公演の完成度
  • 01:53 「バラード第1番」への臨み方、ショートプログラムの難しさ
  • 03:53 次のアイスストーリーの構想は?
  • 04:36 これからどんな生き様を見せていきたいか
  • 06:37 「Mass Destruction」でのノヴァの心境
  • 08:04 「ダニーボーイ」に込めた祈り
  • 10:39 3作に共通する「孤独」というテーマ
  • 12:37 全7公演を経て超えられたもの

要点まとめ

羽生結弦さんは、ツアーをすべて終えた率直な気持ちとして「とにかく頑張った」と振り返り、類を見ない規模の人々がアイスストーリーに関わってくれたことへの感謝を真っ先に口にしています。最終公演は「これ以上ない出来で締めることができた」と手応えを語り、演技と演出と物語が映像や観客の記憶に残ることへの喜びを噛みしめていました。

プログラムの中でも「バラード第1番」については、旧採点ルールのショートプログラムとして後半にトリプルアクセルと4回転-3回転を跳ぶ構成の難しさ、公演内で4曲を滑った後に臨む消耗、照明付き・会場ごとに異なるリンクサイズといった条件を挙げ、「フリーよりも難しい」とツアーを通して改めて実感したと明かしています。

作品面では、戦闘曲「Mass Destruction」を「音を武器に、負の感情を喜びで押し潰す」イメージで滑っていたこと、「ダニーボーイ」は死者への弔い・観客の希望・自身の幸せなど、すべてを一緒くたに「全身で祈る」気持ちで演じていたことなど、主人公ノヴァの内面を詳しく語っています。

さらに、3作すべてに通じる「孤独」というテーマについては「自分が孤独だとはあまり思っていない」とした上で、誰もがすべてを共有できない孤独を抱えているからこそ、「文字や記録や音がある限り1人じゃない」というメッセージを込めたと説明。次回作の構想は「ゼロ」としつつ、新しいトレーニングの成果がまとまってきた実感から「これからまだ変わっていける」と今後への手応えも示しました。

ツアーをすべて終えて

00:00
質問

「Echoes of Life」のツアーがすべて終わりましたが、今の気持ちをお願いします。

羽生結弦:とにかく頑張ったなということと、やっぱりこのアイスストーリーというものに関わってくださっている方々の規模が、本当に類を見ないぐらい多くの方々が関わってくださって。僕のためにどれだけの方が動いてくれているのかということに対しての、感謝の気持ちでいっぱいです。

00:40
質問

最後の公演でしたが、ご自分で書いて、それで出演してという中で、ご自分の中での完成度はどうですか。

羽生結弦:もうこれ以上ないなという出来で締めることもできたので。ちょっと放心状態ではあるんですけど、とにかく、なんて言うんですかね、言葉とか文字だけでは僕は表現しきれないし、このアイスストーリーというものはスケートだけでもやっぱり表現しきれない、唯一無二のものだと思っているので。今日の演技と演出と物語が、こうやって映像で残ったり、また来てくださった、見に来てくださった方々の記憶に残ったりしてくれるのが、本当に嬉しいなという気持ちでいっぱいです。

「バラード第1番」とショートプログラムの難しさ

01:53
質問

いろんな表現のプログラムを見せていただきましたが、やはり「バラード第1番」がすごく素晴らしかったと思いました。このリンクはちょっと狭いし暗いしという中で、今日はどういうふうに「バラード第1番」に臨んだんですか。

羽生結弦:テレ朝さんはもうずっと追いかけてくださっていたので分かると思うんですけど、本当に最初からかなり苦戦をして。改めて、そのショートプログラム――旧採点ルールの中のショートプログラムで、後半に2本ジャンプを跳ぶ、それがトリプルアクセルと4回転-3回転というジャンプ、というものの難しさを改めて感じました。フリーとはまた違う緊張感、そしてフリーとは違って回復する余地がないのがショートプログラムの特徴で、非常にいろんなものが詰まっているからこそ、フリーよりも難しいんだなということを、今回ツアーを通して改めて感じました。その難しいものを、ピアノ(バラード第1番)の前にすでに何曲だろう、4曲ですかね、4曲やっていて、すでに「ああ、辛いな」と思いながら出ていく難しさと、あとは照明付きで――これは僕の希望だったんですけど――照明付きで、そしてまた会場によってリンクサイズが変わるということもあって、非常に挑戦、難しかったですが、本当に氷の職人さんも含めて、皆さんが一生懸命やってくださったおかげでなんとかできました。

次への構想

03:53
質問

まだ終わったばかりですが、次への構想はありますか。

羽生結弦:ないです。次のアイスストーリーの構想はゼロで。とりあえず、ちょっと今放心している状態で頭がうまく回っていないかもしれないんですけど、とにかく、こうやって皆さんが集まってくださるのもそうですけれども、なんて特別なんだろうなということを、しみじみと心に染み込ませながら、今という時を過ごしています。

未来と、これからの生き様

04:36
質問

以前「スケートと生きている」とおっしゃっていましたが、今回はまさに人生そのものがテーマだったと思います。これから先、どんな生き様を見せていきたいですか。

羽生結弦:僕がこの物語を執筆して、実際ツアーを完走して、自分自身の考えが深まったことの1つなんですけど、「未来なんてやっぱり誰も分からないな」ということが、このツアーを滑りながら一番自分の心の中に残ったものです。それは北京オリンピックもそうでしたけれども、どんなに努力してもやっぱり報われないなと思うこともあるし、どんなに1日一善をして、どんなにいいことを繰り返していたとしても、不幸なことが起こってしまうのが未来だし。だからこそ、簡単に「こんな生き様」とは言えないんですけど、でも、とりあえず生きている今を、まっすぐ、自分の心と自分の正義を信じて、まっすぐ生きていたいという気持ちではあります。

「Mass Destruction」――音を武器に戦うノヴァ

06:37
質問

「Mass Destruction」についてお伺いしたいんですが、「First Pulse」から段階を踏んできて、自信たっぷりで、ちょっと挑発するような振りもある中、あの場面でのノヴァの心境はどういうものだったんでしょうか。

羽生結弦:あの曲自体が戦闘曲なんですよ。なので、音をまといながら、音を武器として戦っているというか。なんて言うんですかね、ペルソナ的には――ペルソナのゲーム的にはシャドーという敵がいるんですけど、自分は音を使いながら、その自分のペルソナを召喚して戦っているイメージでやっています。それを一般向けにどうやって話せばいいんだろうと思ったんですけど、音をまといながら、ダンスをしながら、いわゆる負の感情みたいなものに対して、喜びの感情とか、楽しいみたいな感じとかで押し潰すみたいな感覚でやっています。

「ダニーボーイ」に込めた祈り

08:04
質問

今日の「ダニーボーイ」なんですが、埼玉の時はアドリブ感というか平穏な感じを受けたけれど、今日はその前の2曲がやたら力強く、戦いと、言葉を踊る・文を踊るという流れの中で、すごく静けさを感じる、何かが現れるような「ダニーボーイ」だなと思いました。どういう気持ちで滑っていたんでしょうか。

羽生結弦:今思い返しているんですけど、どんな気持ちだったかなって。もうその時は必死で。そうですね、とにかく全身で祈るというイメージでずっと滑っていました。その祈りが、「ダニーボーイ」のいわゆる原点にある「死者への弔い」という意味の祈りもあるし、ここに来てくださっている会場の皆さんの希望への祈りであったり、僕自身の個人的な幸せへの祈りだったり、こうやって作ってくださっているスタッフへの祈りだったりとか。本当に、ごちゃっといろんなものが混ざってしまってはいるんですけど、一緒くたに全部、音と共に祈るという気持ちで、ただひたすら祈っていました。

09:48
質問

ストーリー的に言うと、浄化した死者への祈りもあったのでしょうか。

羽生結弦:あのシーンは、その世界の中で生命がほとんどなくなってしまった中で、やっと芽が与えられることに気がつき始めるというところで。自分の周りに命が宿っていくことへの祈りというか、その1つ1つの命が「どうか育ってくれますように」「みんな生きてくれますように」ということへの祈りが、ノヴァとしては一番強かったです。最後は「みんな生きて」って言っていました。

3作に共通する「孤独」というテーマ

10:39
質問

第1弾から第3弾まで進んできて、すべてに共通して「孤独」というものが1つのインスピレーションの元になっていると思います。今回も、孤児として生まれ、滅んだ後の世界に選ばれし者として1人で生まれてくるという設定でした。一方で、比類のない規模でいろんな方々と協力しなければ作れないわけですし、作品の中にも孤独への答えが必ず用意されていました。そういう経験を重ねてきて、今、「孤独」はご自身にとってどういうものですか。

羽生結弦:あんまり孤独とは思っていないんですよね。ただ、戦わなきゃいけない時だったり――もちろん人間誰しもが持っていることだと思うんですけど――そのすべてを共有できるわけではない。とても悲しいことだけれども、自分の苦しみだったり喜びだったりを全部共有できるわけじゃないじゃないですか。それってみんな孤独だなと思っていて。でも、だからこそ人間は言葉というものを使うし、文字を使うし。ノヴァで表現したかったのは、例えその世界で1人だったとしても、文字や記録や音とか、そういうものがある限りは1人じゃないんだ、ということを表現したつもりなので。僕が孤独だとかっていうのは、最近はあんまり思ってはいないんですけど。ただ、皆さんの中にあるちょっとした孤独、「みんなが気づいてくれない」みたいなものに対して、「いや、大丈夫だよ」という気持ちで表現したつもりです。

全7公演を経て超えられたもの

12:37
質問

シーズン中の試合と同じように、公演を重ねるごとにすごく素晴らしいものが出来上がっていましたが、今回の7公演を経て、また何か超えられたなと思うものはどんなことですか。

羽生結弦:新しいトレーニングもまた始めてみて、可動域を上げるとか、単純に柔軟性が上がるというだけじゃなくて、使える体の動きと、どれだけ動きの切り替えを早くできるかということと、あとは自分の特徴であるしなやかさ、美しさみたいなものへの磨き方みたいなことを、広島の直前ぐらいから練習し始めているんですね。それがやっと今回まとまってくれたなという感覚で今います。なので、これからまたどんどん変わっていけるんだなという感触が、実感が、今はあります。

まとめ

自ら執筆・出演した「Echoes of Life」を「これ以上ない出来」で締めくくった直後の、放心状態のまま言葉を探しながら語る羽生結弦さんの姿が印象的なインタビューです。感謝から始まり、技術論、作品論、そして人生観まで、約14分に濃密に詰まっています。

特に、「未来なんて誰も分からない」からこそ「生きている今を、自分の心と正義を信じてまっすぐ生きていたい」という言葉や、「文字や記録や音がある限り1人じゃない」というノヴァに込めたメッセージは、作品を観た人にも、これから映像で観る人にも深く響くはずです。

次のアイスストーリーの構想は「ゼロ」とのことですが、新しいトレーニングの手応えから「これからまだ変わっていける」という言葉も。進化を続ける羽生結弦さんの次の一歩にも注目です。