小塚崇彦

アメリカ・デトロイドで合宿中の小塚崇彦のインタビュー動画です。


フィギュアスケート男子の小塚崇彦(トヨタ自動車)が今月25日から米国・デトロイトに渡り「これまでで一番長い」という2カ月半の合宿に取り組んでいる。ソチ五輪を目指すシーズンへ。足の痛みに苦しんで全日本選手権で5位に終わり、6季ぶりに世界選手権の出場を逃した今季からの巻き返しを図る。 (海老名徳馬)

 今季は股関節の痛みに悩まされた。シーズンが進むにつれて影響が大きくなり、昨年12月の全日本選手権の前は「病院を駆け回っていて、練習していなかった。それが一番の失敗の原因」。本来の出来とは程遠い滑りしか見せられなかった。

 磁気共鳴画像装置(MRI)やCTスキャンなどの検査を重ねたが、原因がわかるまで時間がかかった。大腿(だいたい)骨を支える骨盤の関節が先天的に浅く「3、4年前に支える部分を骨折したことがある。痛くなかったけれど、去年からハードに練習して疲れると痛むようになった」。かばって滑るうちに、右足甲も痛めていた。

 本来は治すために手術が必要だが、半年ほど滑れなくなる。「まだスケートがしたいし、強い気持ちで乗り切れる、と自分で判断した」。手術はせず、体の調子を見ながら練習する道を選んだ。

 これまでは週2回程度だったマッサージを、毎日必ず受けるように。新たなスケート靴を特注するなど、体への負担を減らす方法を探ってきた。

 4月初めには復帰戦となった国際大会で優勝。来季のショートプログラム(SP)の振り付けも済ませ「いつも結構足にくるけれど、最後まで動けた。痛みのボーダーラインを突破しない状況をつくれば大丈夫」。綿密なケアを受ければ、調子をコントロールできるという手応えを感じている。

 来季のSPは「骨組みはできた。練習していて楽しいプログラム」。フリーは今季と同じバイオリン曲「序奏とロンド・カプリチオーソ」を使う。「五輪シーズンはドタバタするので、最初につくったときから考えていた。ただつなぎをもう少し入れたり、変わった感じにしたい」とイメージは出来上がっている。

 ソチ五輪の日本男子出場枠は三つ。「実力的に難しい状況ではない。失敗したら絶対無理というのは去年の全日本で感じたけれど、失敗さえしなければ大丈夫」。レベルの高い代表争いにも、自分の力を信じる気持ちは揺るがない。新しいシーズンへの準備は着々と整っている。

(2013年4月27日掲載 東京新聞「小塚、ソチヘ自信 米で2カ月半 長期合宿入り」より)