羽生結弦

世界フィギュアスケート選手権の男子シングルショートプログラムで、羽生結弦の演技直前に絶叫したファンのマナーについて取り上げた動画です。


男子ショートプログラム(SP)を行い、ソチ五輪で日本男子初の金メダルに輝いた羽生結弦(19)=ANA=は得意の4回転トーループで転倒するミスがあり、91・24点で3位となった。五輪5位で世界選手権初出場の町田樹(24)=関大=が世界歴代3位の98・21点で首位。高橋大輔(28)=関大大学院=の欠場を受けて出場した小塚崇彦(25)=トヨタ自動車=は85・54点で6位。男子フリーは28日に行う。

 名前がコールされても観客席の声援が鳴りやまない。滑り出そうとした瞬間、数人の女性が「ユヅ、愛してる~!」と絶叫。羽生は表情を変えず「パリの散歩道」に乗って滑り始めたが、絶対的な安定感を誇る冒頭の4回転トーループが回転不足で転倒した。

 金メダリストの凱旋試合は想定外の3位発進。ソチで出した世界最高101・45点を10点以上も下回った。会見で3位の席に座った羽生は「自分自身に対して怒りを感じる。ここにいる自分が許せない」と厳しい表情。練習からミスしなかった4回転の失敗を「気の緩みがあった。五輪チャンピオンのプレッシャーと過信。自分の心の問題」と悔しそうに振り返った。

 直前の大声援については「聞こえてましたけど、影響があったとは思わない」という。日本男子初の五輪金メダルに羽生フィーバーが巻き起こり、女性ファンが激増。ソチから帰国した2日後にはカナダに戻って練習に集中したが、金メダルの重みが19歳の歯車を狂わせた。羽生は「肩書からくるプレッシャーみたいな。ちょっとした誤差みたいなものが4回転に出た」と唇をかんだ。

 町田とは約7点差だが、負けず嫌いの羽生は「すっごい楽しい」と追う立場を歓迎した。五輪王者が同シーズンのGPファイナル、世界選手権も制すれば、02年ソルトレークシティー五輪金のアレクセイ・ヤグディン(ロシア)以来で2人目だ。

 「SPは過去という位置づけで、フリーに向けて頭を使っていきたい。過去より今をつかみとりたい」。19歳は挑戦者に戻り、18年韓国・平昌(ピョンチャン)五輪への第一歩を踏み出す。

(2014年3月26日掲載 スポーツ報知「【世界フィギュア】羽生『自分自身に怒り』転倒でSP3位」より)