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宇野昌磨が語る「Ice Brave」新章 ターニングシーズンに込めた思い【ロングインタビュー全文】
宇野昌磨さんが、自身プロデュースのアイスショー「Ice Brave -A TURNING SEASON-」を前に、名古屋市内でロングインタビューに応じました。
「Ice Brave」を毎年続くショーへと変えていこうと考えた経緯、メンバーとの関係、アイスダンスへの競技挑戦、そして「おもしろい」を原動力にする現在の思いを、質問と回答の全文で紹介します。
出典:中日新聞
動画の主な内容
- 00:42 開幕まであと1か月
- 03:45 新しいものを生み出す手応え
- 05:12 「毎年続ける」と思った時期
- 07:27 仲間との関係
- 10:39 座長としての役割
- 12:56 「ターニングシーズン」の意味
- 14:37 新旧プログラムの構成
- 17:09 100分のショー構成
- 22:20 「アイスダンス中心」とは
- 24:28 競技とは違う感情の動き
- 35:51 振付と練習の進捗
- 38:06 全力で挑む日々
- 40:32 最高の瞬間との出会い
- 43:50 原動力は「おもしろい」
「Ice Brave」を続けていくための新しい公演へ
「Ice Brave」まであともう1か月ほどですが、今の気持ちはいかがですか。
宇野昌磨さん:
今回は、「Ice Brave」を初めて行った時からもう1年、ちょうど1年くらいだと思うんですけど、まずこの1年間がすごくすごくすごく濃密だったからこそ、全然1年前だとは思えないぐらい、もっと前のような感じがします。
その中でこの1年間でいろんなことを経験して、「Ice Brave」も3回目になるんですかね。今回は今までの「Ice Brave」と大きく違って、メンバーは全員一緒ですけれども、内容は、これからも「Ice Brave」が毎年続けられるようにという思いも込めて、その時々のコンセプトだった自分の過去の演目を中心に選曲しているところから一旦離れて、たくさん新しいものを組み込んでいます。
普通の、僕が使ってきた演目を中心としたアイスショーから、毎年新しいものを作るアイスショーに変更させていただいています。その理由に関しては、初めは「Ice Brave」を1回きりというか、何年も何年も続けられるような集客力とか、それほどの存在では僕はないって正直思っていたからこそ、今回限りで終わってもいいから、その1回限りを大切に、もうできることを全部やろうという思いだったんです。
けれども、実際やっていくうちに、これからもこのメンバーとアイスショーを続けていきたいと思ったし、「Ice Brave」というものを、試合以外で、見に来る人が楽しいだけじゃなくて感動してくださったり、スケーターの皆さん、スタッフの皆さんが感動してくださるのを見て、こういう楽しませるイベントをさらに超えて、人の感情を動かせるものを作ることができたということに、自分自身もとても嬉しく思いました。
自分の人生においてもすごく記憶に残る1年だったな、すごく愛おしい1年だったなと思って、これがまたこのメンバーでこれからも続いていけるようにという思いを込めて、今回ちょっと新しいものを入れさせていただいています。
今は、新しいものを見いだしている最中だと思います。早く皆さんに見てもらいたいというワクワクする感情ですか。それとも、どうだろうという気持ちですか。
宇野昌磨さん:
初回の時よりかは、やることをやっているんだけど不安だな、という印象はそんなにないです。本当にサポートしてくださるスタッフの人、そしてスケーターのみんなと、来てくださるお客さんがとても温かくて、本当に一緒になって楽しもうとしてくれる、その意思がすごく僕たちにとっては嬉しい。
皆さんが作ってくれる雰囲気の場に、またこうやって足を踏み入れる、その空間に一緒にいられることはまず楽しみなので、あまり不安というものはないです。
ただ、これからもどんどん続けていきたいという思いが、1年前よりかなり出ているからこそ、ちゃんとイベントとして、見に来てくださった人たちが「楽しい」「また見に行きたい」と思えるもの、まだ見に来たことがない人たちが見に行きたいと思えるものを作りたいという日々で練習しています。
前回は感謝の場というところも大きかったと思います。そこから、毎年ショーを続けられるようにと思い始めたのは、いつ頃からですか。
宇野昌磨さん:
「Ice Brave 2」が始まった後ぐらいですかね。それまでは正直、メンバーもこのまま固定でいくとは考えていなくて。「Ice Brave」1が終わった後もすごく感謝はしていましたけれども、「Ice Brave 2」の時も、メンバーを2人増やすのかということを会議というかミーティングで話し合って、2人増やすという形でやらせていただきました。
ただ、メンバーが来年もそのまま、というのは全く考えていなかったんですけれども、これまで一緒に練習してきたみんなの姿を見て、このメンバーとやりたいなって強く思いました。
少人数というのはかなりみんなにとって大変にはなるんですけれども、大変でも僕はこのメンバーの空気感を変えたくなかった。増えても減っても、人と人が関わることなので、空気感は大きく変わりますし、僕はこの28年間生きてきて、人間関係という部分で、新しいものというよりも、本当に自分の目の届く範囲のものを大切にして生きていきたいという思いがずっとあったので。
そこから新しい世界に、というよりかは、今この素晴らしい空間を大切にこれからも生きていきたいという思いを、「Ice Brave」を1、2通して感じられました。自分の空間を、そしてみんなにとっても素晴らしい空間であり続けられるようにという思いで、だんだんとそういう思いがありましたね。
メンバーとの関係と、座長として目指す距離感
ずっと一緒に滑って頑張ってこられた仲間、メンバーとの関係性はいかがですか。最初の頃からだいぶ変わってきていますか。
宇野昌磨さん:
そうです。だいぶ変わりました。僕は、以前から面識があったメンバーもいました。アイスショーや大会で一緒になることもありましたし、同じゲームをやっていたこともあって、もちろん面識があるという感じでした。
それ以外の方たちは、本当に、直前のアイスショーで努力する姿とか、パフォーマンスする姿を見て誘わせていただいた方もいます。名古屋で一緒に練習していた方も、人柄をずっと見ていて、深く関わることはなくても、そういうところで選ばせていただきました。
一番変わったのは新しく入ったメンバーと、以前から知っていたメンバーの一人かなと思っていて。彼は「Ice Brave 2」が始まった時も、ほぼ初めましてだったんです。誘わせていただいた理由は本当に偶然な縁があって、僕が新横浜で宗教の勧誘に捕まっていた時に、偶然歩いていた彼が、しゃべったことはなかったんですけど、「昌磨くん、もう早く行きますよ」みたいな感じで助けてくださって。
もちろんそれで知っていたというのもあるし、そこで気遣いができる姿を見て誘わせていただきました。一緒に練習する中で、今では僕から話しかけに行く回数が一番多いというか。この中だといじられキャラなんですけど、人に愛されるというか、年上からもすごく面倒を見たくなるような、だけどちゃんとしっかりするところはしっかりしている。そういうところで、一番関係性が変わったのは彼かなと思います。
宇野さんは、このメンバーの中でどういう役割、どういう存在なのでしょうか。座長でもありますよね。
宇野昌磨さん:
最初はいろいろ引っ張っていかなければいけないという思いだったんですけど、「Ice Brave」1の前に、だんだんと、このメンバーはプリンスアイスワールドをずっとやられているので、プロ意識というか、アイスショーに対する思いの強さ、やらなければいけないところでしっかりやる、やるべき時にやる、これができている。
僕があえて何かを言わなくても、ちゃんとやることをやってくれるし、少人数ではあるんですけど、引っ張ってくれるメンバーもいるので、僕は正直、あまりみんなにとって都合いい存在でいたいなと思っています。
楽しい場を提供したいし、でも、いいものを作る上で僕はそういう観点で見させていただくんですけど、立場上、みんなはプロデューサーでもないし社長でもないので、言いづらい場面、言いづらい局面が絶対生まれるんです。そういう時に、ちゃんと僕をうまく使える空気感でいたいなと思っています。
言いづらいことは僕が言えるようにしたいし、例えば要望とかも、僕だからこそ言えるということがある。座長とかプロデュースする立場をやらせてもらっているものの、みんなと本当に隣でできるようにというのを意識しています。やることはみんなやるんですけど、立ち位置的には本当に横並びというか、全員の意見が尊重し合えるように、という立ち位置にしています。
「A TURNING SEASON」の意味と新しい構成
今回は「A TURNING SEASON」というサブタイトルが付けられています。改めて、このタイトルに込めた意味はどのようなところにありますか。
宇野昌磨さん:
本当にさまざまな意味があります。まず、この先何年も続いていけるようにという意味合いも込めているので、「Ice Brave」1、2が終わって、今回の「A TURNING SEASON」から、今までのコンセプトが少し変わって、もっとこれからも続いていくようにという意味合いも込めて、中身を変えさせていただいています。
あとは、僕たちの話で言うと、アイスダンスの競技に挑戦するということで、間違いなくこの1年間が大きなターニングシーズンになるなという、そういう意味合いがこの「A TURNING SEASON」には込められています。
タイトルを聞いた時に、その意味が分かるじゃないですか。「ターニングシーズン」って。見に来る人で、何となく僕たちを知っている人も、このタイトルを見た時に「確かにそうだよね」とすごく納得感も出ると思います。そういう意味合いも込めて、分かりやすく「A TURNING SEASON」とさせていただいています。
内容について、前回とは少し違って、宇野さんの現役時代の曲も使いながら、新しい曲も取り入れていくという形ですか。曲はどういう観点で選んでいったのでしょうか。
宇野昌磨さん:
現役時代のものはあまり残してはいないです。もちろん何曲かは残っているんですけど、半分以上が新しいものになっていて、本当に残っている数の方が多分少ないというか。
「Ice Brave」っぽい曲というか、それはすごく難しくて。僕が好むものと、見る人が好むもの、それを選んだ理由とか、曲の流れとか、さまざまなものがあって、すごく難しいです。
前回よりも、僕よりちょっと総監督みたいな人が一人いて、その方がすごく頑張ってくれたんです。僕はあまり音楽とか詳しくないので、いろんな音楽をもらって聞いて、「これいいかもしれない」「これがこの人ができそう」と考えています。僕は結構、誰ができそうとか、そういうのをやらせてもらっています。
メンバー全員にも、たくさんある候補の中からどんな曲が好きかというのは一応聞いています。聞くだけ聞いて、別に全然それを採用したということではないんですけど、みんなが楽しいと思えるものを残した方がいいとは思いますし、見に来てくださる方たちにも、ちょっとアンケートを取ったりして。もちろん、それを採用したということではないんですけど、みんながどういうことを考えているのかを知りたかった。そういうことを考えながら、ようやく音楽は大体決まったという感じです。
全部で何曲ぐらい踊るのでしょうか。前回もかなり多くの曲を踊っていましたよね。
宇野昌磨さん:
そうですね。20曲近くですかね。今回は100分で、前回より少し長くはなっているんですけど、少人数なので、はめ込むのがすごく難しくて。3連続で曲があって、着替える時間が必要だったり、休憩する時間をどうするかという兼ね合いもあります。
僕とか、りかちゃん、それこそりんさんは、ソロで一人で滑る演目も期待されるし、予定はしています。ソロになると、ちゃんと一人でその空間を成立させないといけないので、みんなでやっている時よりも、立ち止まる回数はかなり減ったりします。その前後にどれぐらい休憩が必要か、ここはどう考えても休憩が取れないから頑張ってもらう、ということも結構大変です。
僕は100分というものを、「Ice Brave」というものを楽しんでほしい、その空間を楽しんでほしいので、トークタイムとかも含めて、その空間に没頭できるよう、なるべく間を空けないようにしたい。いろんなことを考えると、本当にこの人数でやるのはかなり大変だなと思いながらセットリストを作らせてもらっています。
前回よりステファンがいないので、ステファンがいないとなると、ソロで滑る人が一人減るということになって、本当に急激にセットリストが難しくなったりします。グループナンバーで二人ずつとか三人ずつ出ると、さっきこのセットをやったから次は変えたいよね、となる。けれど、この人は早着替えの手順だから出られないよねとか、この人はこの演目が得意だよねとか、すごく難しいです。
「Ice Brave」1と2よりは違う部分を見せたい、新しいものを見せたいという思いもあります。考えなければいけない一番のところはもう終わって、大体作ったんですけど、僕も含めて全員忙しくて。7月中旬ぐらいに、今ちょうどプリンスアイスワールドをやっているので、その頃にがっと追い込みの期間が入ると思います。
今回は本当に、前回は結構長期をまんべんなくという感じだったんですけど、今回はだいぶ2か月前とか、もっと前から作り始めて、一応作り終わりました。少し期間を空けて、またここでがっとやる、みたいな感じです。
この前、本当に6時間ずっと氷に乗ったことが1回あって。時間も夜9時から朝4時とかだったので、みんなの予定が合わないから、集まれる日にそうやらないといけない。すごかったです。しかも朝4時の前に、朝はアイスダンスの練習をしていたので。本当に初めての体験でした。
パンフレットなどには、前回はアイスダンスが見場だったけれど、今回は「中心に」と書かれています。「中心に」とは、ショーの中でどのようになっていくのでしょうか。
宇野昌磨さん:
実際は、アイスダンス中心と言えど、僕たちがアイスダンスできる回数って多くて2回なんですよ。2演目のショーなので。今回、「Ice Brave」が現役に挑戦するとなった後だからこそ、このアイスダンスというものに注目度が集まるだろうし、という意味を込めて、「中心」という文言を使わせてはいただいています。
ただ、アイスダンスのためのショー、アイスダンスのための「Ice Brave」になってほしいとは思っていなくて。アイスダンスを本当にメインとしたいという思いはあるんですけど、それ以外の部分がそのついでではなくて、これまで以上に「Ice Brave」という全員のショーの良さは絶対残したいという思いがありました。
今まで以上にアイスダンスを全面的に前に出していきたいと思っているものの、これまであった「Ice Brave」のパッケージの中に、アイスダンスがより濃くあるよ、というだけで、このアイスダンスのために全てを形成しているわけでは全くないです。実際見たら分かるというか、今年も大変なセットリストになっているので、楽しみにしていただけたらなと思います。
競技とショーで異なる感情の動き
前回と同じように、ものすごいエネルギーが来るようなショーというイメージですか。曲数も増え、時間もちょっと伸びる中で、一番伝えたいことは何でしょうか。「Ice Brave」をどういうショーにしたいですか。
宇野昌磨さん:
それは間違いないです。僕がそういうものを好むというか、「Ice Brave」において、一番大事にしているのは、その瞬間を本気でやることです。スケートに限らず、ゲームも、全部その時の全力というのが、僕のやってきたことなので。それは変えたくないというか、それが自分のやりたいことです。
今回のオープニングは、すごく好きなものにできたかなと思います。
僕は、他よりここが優れていますというよりかは、本当にその空間、「Ice Brave」で関わってくださった人たちが、すごく前向きな気持ちになってほしいというか、すごく貴重な体験をしたなと思ってほしい。「Ice Brave」に立ち会ってくれた人たち、みんなが仲間のような存在になってほしいなと思っています。
立場上、見に来てくださるお客さんと、その方たちを楽しませる僕たちが演者という立場ですけど、僕はこの「Ice Brave」で好きな部分は、チーム感の雰囲気とか、「Ice Brave」自体の空気、皆さんには見えないかもしれませんけれども、スタッフみんなの空気感です。
プロ意識とかも大事なんですけど、プロ意識がありつつ、一つ一つの行動に全員の人間性が見える瞬間がすごく好きです。MCタイムとかも含めて、そういうところに僕は嬉しさとか、やりがいとか、一番好きな空気だなというのを感じるので、その一員にみんななってほしいなって。それは見に来る人たちも含めてです。
演者、スタッフ、観客の皆さんも一緒になって、その公演の空気感、世界観を作っていく。一体感や団結力のようなものを、みんなで分かち合いたいということでしょうか。
宇野昌磨さん:
そうですね。僕は本当に次の公演のこととか、明日のこととか、そういうことを本当に考えていなくて、本当に今、その瞬間に全力を出すという思いです。次は夜があるからこれはこうしておこう、というのは全くなくて、その瞬間を本当に楽しく、そして楽しんでもらいたいという思いでやっています。
そういうのが、アイスショーに今までたくさん出させていただきましたけれども、プロデューサーという立場になったり、少人数になったからこそだと思うんですけど、お客さんも含めて、みんなの表情とか感情が動いている瞬間を、会場では見える。そんな瞬間と遭遇することが増えたなと思って、それがすごく「Ice Brave」を作って本当に良かったなと思う一面です。
シングルの競技をされていた時も、宇野さんの演技を見て感動される方はたくさんいたと思います。それとはまた少し違う感情の動きを、「Ice Brave」では感じられたということでしょうか。
宇野昌磨さん:
そうですね。競技に関しては、そんなに本当に余裕がなかったというか、周りを見る瞬間が本当に全くなかった。周りへの発信も、自分からの発信ではなくて、用意していただいたメディアの前で自分のことを話す。その話したことが実際にどうなっているかとかを全然知らなくて。自分が実際発言したことでどういう反応を受けたとか、それほど今ほど関心がなかったです。
スケーター間の付き合いも、僕は割と帰ってただゲームがしたいという思いだったし、競技になると、人の感動をさせる演技をしたいというのは小さい時からあった。結果にこだわりたくないという思い、緊張もしたくないという思いを込めて、そう言い聞かせるというか、メディアでもそういう発言をしていました。だからこそ、だんだん言っていると本当にそう思ってくるというか、そういうのは間違いなくあるんです。
ただ、競技をやっていて思ったのは、自分がいい成績を残せるためにどうしたらいいかとか、トレーナーとかスポンサーさんとか、いろんな方が手助けしてくれているのを見ていたので、その人たちの期待に応えたい、結果を出したいなという思いがすごく強かった。
人が感動する姿とか、僕の結果で感動する姿を見て、「ああ、良かった。頑張って良かった」と思う。そこが、言語化するのはすごく難しいんですけど、自分が楽しいっていうものをみんなに共感してもらっているかの違いなのか。そこは大きく違うなと思っています。
それがプロデューサーとか作る側になったからこそ変わったのか、演者と距離が近くなって、他のスケーターとの距離が近くなって、人と人が関わる瞬間が増えたからなのか。それこそスタッフの皆さんも含めてですけど、今までは少し離れて、用意された舞台に本気で全力で、ショーに関しても、自分で作るのではなく用意していただいたものをやらなければいけない立場を全力で全うする。それがプロ意識だと思っていたので。
自分でどうしていかなければいけないか、自分がどうしたいかを考えるようになったのが変わったのか。それは変わったのは分かるんですけど、なぜかは明確に言語化したことがなかったな、という感じです。
もう一回競技をやってみたら、大会が終わってお客さんの顔が見えて、感じるものが変わるかもしれないんですけど、目的が大きく違うのは大きいと思っています。競技だと、最終的には自分たちが本気で頑張る姿を応援してくださる。だけどショーは、本当に見に来てくださった人たちを楽しませるというのがゴールなので、そこがやっぱり大きく違う。どっちも良さがあって、この「Ice Brave」を通して、アイスショーを作る方々がアイスショーを作りたいという意味がすごく分かったなと思います。
今回も愛知で4公演あります。そうやって一緒に楽しむ人がたくさん会場にいてくれると、その分、楽しさも大きくなっていくという感じですか。
宇野昌磨さん:
そうですね。まずは皆さんが本当に楽しみに来たんだなというのが、最初のオープニングの1曲目から感じられるので、それがまた、その瞬間っていいなってすごく思います。やりがいはすごくあります。
一から作るというのがすごく大変で、その大変さが分かるからこそ、それを作ってきて良かったなと思う瞬間の感動はあります。お客さんが、すごく楽しむぞっていう、楽しむ心を開いて見に来てくれるのがすごく伝わってくるので。
どれほどできるのか、ちょっと見てやろうか、ぐらいの感じで、僕は結構競技の時は見られているのかな、という感じでやっていました。もちろん、緊張する中、何とか頑張ってほしいと思っていただけている方も、顔を見ていれば分かるんですけど。ショーを通して、みんなの顔つきが違うなというのは、スケーターも含めてだと思うんですけど、見に来るお客さんも含めて感じました。
アイスダンスと「Ice Brave」を並行する日々
振付は大体終わった段階で、あとは合わせていくということですか。
宇野昌磨さん:
そうですね。それこそアイスダンスの方もですけど、アイスダンスって本当に毎日振付みたいな感じで。シングルだと、決められたものができたら、それをずっと練習して、ジャンプをメインで練習する、体力をつけるという感じなんですけど、本当に同じ曲でも、ここのテンポを速くしようとか、遅くしようとか、そういうのをずっと調整する毎日です。
アイスダンスの練習というのは、振付師が来られるタイミングで振付をしたり、今日は大きいAリンク、試合用のサイズがあるんですけど、そのリンクの時間が短くしか取れなかったから、その前に狭い方のリンクを貸し切ってリフトの練習をしてから、大きいリンクに行って競技の練習をしよう、みたいな感じです。練習する環境もやっぱり難しくて、昼間だと一般滑走を避けなければいけないことが多いので、朝早くか夜中みたいな感じになります。
そこでみっちりやって、さらにいろいろなことをこなしてから「Ice Brave」に向かい、頭も体も使って作り上げていかなければいけないということですよね。
宇野昌磨さん:
「Ice Brave」に関しては、もう正直、ちょっと楽しみに行っている感はありますけどね。作っている最中も、全部が全部僕がやるわけではないので。一応、プロデューサーの立場として現地に行って、みんなが振付している横でアイスダンスのステップとかを練習したりしながら、暇そうにしている人と話したり、そういう感じです。
リハーサルや練習に行って、パワーももらったりしながら、ということでしょうか。
宇野昌磨さん:
そうですね。実際これ全部なんですけど、自分がやりたいことにつながるために、やるべきことをやっているだけなので。1年前に比べると、いろんなことに手を出して、いろんなことをやらせてもらえる立場にはなっているんですけど、せっかく今回、競技の方には全力で挑戦したいという思いもあります。
ただ、一度引退した身としては、自分で何かをやらなければ、競技の時は別にいいけど、本当にやることってなくなるんだなと。自分が動かないと何も動かないんだな、というのはすごく痛感したので、その二の舞にならないように、ちゃんと今しかできないこと、やりたいことをやりながら、やるべきことをどんどんやっていこうという感じです。
隙間時間さえあればゲームをするし、スケートもやらなければいけないことがたくさんある。今までと違うことに挑戦するからこそ、いろんな新しいこともやらなければいけない。こういう大変な毎日を送っていたら、時にはめっちゃきついな、ちょっと苦しいなと思う時もきっとあるかもしれないです。
でも、こういう毎日を過ごして何年かたった後に振り返った時に、すごい、絶対良かったなと思う瞬間はめちゃめちゃあると思うので。それはいい生き方ができているのかなと思います。
心が動く瞬間と、「おもしろい」という原動力
宇野さんにとって、「Ice Brave」を作っていく過程の中で、こういうところで、こういう瞬間に出会えて良かったなと思う場面はありますか。
宇野昌磨さん:
やっぱり、みんなが涙するシーンとかを目の当たりにすると、今まではあんまりなかったというか。オリンピックで初めて銀メダルを取った時に、美穂先生が泣いている姿を見て、僕はオリンピックというものを特別視していなかったので、「やっぱオリンピックってみんな嬉しいんだな」と、そういう感情を感じました。
でも、オリンピックというものを自分で作り上げて自分のもの、という感じではなく、本当に出させてもらっている立場なので、みんなが喜んでくれて嬉しいな、ぐらいに思っていたんです。
「Ice Brave」とかだと、やっぱり全部を一から作って、それこそ作らないという選択肢もできる中で作らせてもらっている。みんなも、出させてもらっている立場でしかない中で、ちょっと手を抜くとか、たくさんアイスショーに出ているからもう慣れっこ、という感情になってもおかしくないのに、今を本気でやってくれて、本気で楽しんでくれて、終わりが寂しくてみんなが涙するという姿を見ると、やっぱ作って良かったなってすごい思いますよね。
今回の「A TURNING SEASON」でも、そういう瞬間がいろいろなところで感じられる場面があるかもしれませんし、私たちが見られるかもしれません。
宇野昌磨さん:
あるんですかね。僕って、感動であんまり涙を流さなくて。本当に自分のことで。前の「Ice Brave」もだったんですけど、苦しいことがなさすぎて毎日楽しかったので、別に涙を全然流さなかった。
でも、みんなが涙している姿を見ると、涙って結構、大半は嘘じゃないじゃないですか。全部と言った方がいいのかもしれないですけど。すごく感情が動いているというのが目に見えて、他人にも分かるから、そういう涙を見ると、僕が涙を流す瞬間というのを待ち望まれている気がして、ちょっと気まずいなとは思います。
涙がなくても、宇野さん自身の心もすごく動いているということですよね。
宇野昌磨さん:
そうですね。それは本当にそうで、実際、僕も自分がどういう感じになるのかすごく楽しみです。これからどんどん新しいことに挑戦していって、いろんなことをしていく中で、毎日、面白いとか楽しいとか、そういう方にどんどん行けるように。
「面白い」っていうのが、僕はすごく原動力ではあって。表に出る時の活動もですけど、発言とかも、面白い方向に楽しくいきたいというのがある中で、また競技とかにも挑戦していったり、「Ice Brave」とかも、普段こうやって面白い方になるべく走っていく生活をしている。
でも、楽しみに来てくれるみんなとか、楽しんでいるみんなを見ると、やっぱり嬉しい。もっといいものを見せたいって思うし、その先に自分が涙する瞬間とかあったら、それは本当にすごくいい経験というか。意図的に涙を流さないというか、本当に自分も、そういう心を揺さぶられる瞬間にまたいつか出会えたらいいなって思っていますね。
まとめ
「Ice Brave」を一度きりの公演ではなく、毎年新しいものを生み出し続けるショーへ。宇野昌磨さんは、その転換点となる公演に向けて準備を進めています。
少人数のメンバーと作る空気を大切にしながら、アイスダンスへの競技挑戦にも向き合う日々。「A TURNING SEASON」というタイトルには、ショーと宇野さん自身の両方にとっての大きな転換期という意味が込められています。
動画では、構成づくりの苦労、チームへの思い、競技とショーで感じる違いまで、宇野さん自身の言葉でじっくり語られています。

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