ジェイソン・ブラウン　世界選手権2019　フリー演技　(解説：なし)

試合が終わり、数時間たちましたが、がっくり落ちた肩と心がなかなか元に戻りません。

今回のショートは彼の良さが最大限に発揮され、フリーは彼の弱さが最大限に露呈された試合だと感じました。

彼のファンならば大抵皆同じ思いだろうと思いますが、点数や順位よりも、真に見たいのは彼が愛しているスケートに全てを集中させ、自信を持ってそれを開花させる姿です。それを画面を通して見ることが出来た時、それがそのまま彼の評価になり価値になるのだと思います。(ショートはそれが遺憾無く発揮されました)
だから私たちファンは、セカンドにつけたあの高い得点を見た時よりも、彼が滑り切り、氷の上で跪きながら満面の笑顔を浮かべた瞬間だけに、感極まったはずです。

クワドレスについての賛否両論は当然です。
ただ、純粋な1ファンとしては、外部の論争など正直どうでもよいことです。重要なのは、彼が自分自身との挑戦を続けることであり、その詳細は二の次です。
クワドが入ってもいいし、入らなくとも構わない。とにかく彼が練習で積み上げ自信を持って発揮できることを、試合で最大限に発揮できることが、ファンの願いであり、本当に見たいものです。

クワドの成功の可否の重圧がそれを大きく妨げるようなら、彼が試合でクワドを組み込むべき時期が”本当に今なのか”大いに疑問です。仮に組み込むと決めたなら、可否はどうあれ次の瞬間に完全に切り替える強さを備えなければ。
その強さを土台にして初めて、クリケットでの挑戦も、高難易度なスキルアップも、意味を成してくるのだと思います。

彼はそのままでいい、という意見もあります。
彼自身はそのままでいいのでしょうか？
拠点を変え転機を迎え、アスリートとしてはもう若くない年齢に差し掛かる今、私は彼に、断崖絶壁の心境で死ぬ思いで食いついて欲しいと思います。
今までの、甘さのある骨細なジェイソンブラウンを超え、弱さを超え、自分を信じ、彼のスケートを愛してやまないファンを信じ、負けてたまるか、と食いついて欲しい。

トップ選手たちを手放しで賞賛する大らかさより、むき出しの闘志を備えて欲しい。(前者が彼の最大の美点と理解した上での意見です)

“俺はクワドを手に入れたら、その瞬間に世界記録も塗りかえる男だぜ。そこの3人、表彰台で笑ってられるのも今のうちだぞ” くらいのことを本気で思ってもらいたいし、なんなら公言してもらいたいくらいです。そのくらいの気持ちでいなかったら、やはりこれまでの彼を超える強さを備えることは難しいと思うのです。

エレメンツの内容や点数や順位のことではないのです。クワドを組み込むと決めたなら、可否はどうあれ、滑り切るまでは自分に負けないこと。
最終滑走だろうが、2位発進だろうが、王者滑走の喝采直後だろうが、流されず潰されず、自分を出し尽くすことに集中する強さを持つこと。

様々な要素に押し流され、押し潰されて、不安で泣き出しそうな子供のような表情をしていた今日の彼は、まだまだ上位の面々には到底辿り着けない距離があります。
おそらく技の難易度よりも、芯の強さの部分で。

今夜は悔しくて眠れない気持ちです。
彼がここにいたら、馬鹿野郎、何やってんだよ！と背中を思い切り叩き上げたい気持ちです。
自分の才能を本当に知ってるのか？自分をもっと信じてやれ！と言ってやりたい気持ちです。
悔しくて悔しくてたまりませんが、彼のスケートを心から愛していますので、彼の真の成長の時を待ち、これからも力のかぎり応援したいと思います。

負けるな、ジェイソン！

最終滑走だったのね、
SP2位発進だったので期待感もあったでしょう。

本当にきれいな滑りでいつまでも見てたい。
されどスポーツ、採点競技。超満員の観客からは温かい拍手。
これがすごいライバル視されるまでになると彼の存在感もより増してくる。