TSL　ロステレコム杯2017のおさらい　　(2017/10/22-英語)

羽生選手とネイサン・チェン選手の部分を訳してみました。長いので、できるだけ二人の話題に絞り、雑談は割愛してまとめました。日本のファンの話は雑談系ですが、おもしろそうなので入れましたｗ　ご参考までに…。省略・意訳ありです。誤訳の訂正、補足など歓迎です。

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ネイサン・チェンvs羽生結弦の闘いを観て、五輪の2トップになれると確信。ネイサンが羽生に勝った時、悲嘆にくれるファンたちをカメラが抜いた。羽生がグランプリ第一試合で負けたのは初めての事じゃないから心配無いだろう。いつも軌道に乗るから。最初の遠征試合としては良い出来だ。だが、日本のファンの気持ちは分かる。

ネイサンは落ち着いていた。（勝っても）叫んだりせず、死闘の末に逃げ切ったかのような（大げさな）振る舞いもなかった。（コーチに抱え込まれて息が詰まりそうになりながら「勝ったんだー」って感じだった（笑）。明らかにラファエル（アルチュニアンコーチ）の方が興奮してた。マライア・ベルがSPで3＋3を着氷できないのにネイサンにあれほど興奮するなんて。僕がマライアなら他のコーチを探してジャンプ指導してもらうかも。ネイサンと羽生の対決に時間を取られるから、マライア・ベルの優先順位は低いんだよ。（手のかかる）アシュリーが新プロじゃなくてラファエルは助かった。ラファエルの優先順位は決まってるから。

ブライアン・オーサーも男子二人に付き切りだと思う。だからアシスタントコーチがいる。トレイシー・ウィルソンが全てうまく采配してくれる。トレイシーに人生を仕切って欲しい（笑）。

羽生の4Lzには驚いた。練習時の方が良かったが、ルッツをモノにしたようだ。振り付けにもマッチしていた。スケーティングリズムも膝の曲げ方もスムーズに4Lzに入った。全体重を完璧にブレードに乗せ突入、素晴らしい流れで氷上を大きく跳んだ。本当に見事だった。着氷はベストではなかったけど、初めてだからね。

転倒が多かった前回の五輪以上の決定戦が観たい。羽生もネイサンも存分に実力を見せて欲しい。

ひとつ残念なのは、ラファエルがネイサンのプロでよくやるけど、（ジャンプ構成を）完全に入れ変えてしまうこと。ループの入りはサーキュラー、ルッツの入は直線だ。ジャンプを変えたら一緒につなぎも変えることになる。ラファエルは、振付をたった10秒変えるためにシェイ＝リーン・ボーンを呼び寄せたりしない。4回転を入れたり外したり、ジャンプの入りを変えたり、好きにやっている。昔は構成を変えるのは悩みの種だったが、今は時代が違うから。だが、ネイサンに3Aの失敗が無ければ、自信に満ちた掛け値なしの勝者になっただろうに。

空中姿勢の違いについて。ネイサンは両手を（胸に）ぴたりと当てているが、羽生は両手を組んでいる。どちらが正しいのか（ジョナサン）？二人とも正しい（デイヴ）。肝腎なのは肘を立てたまま体に引き付ける事。二人の空中姿勢を見ると、即座に両足を揃え、つま先を伸ばしている。羽生とネイサンの姿勢は最高とは言えないが、着氷能力の高さが凄い。

ネイサンはシェイ＝リーンに電話すべき。もっと良いコレオシークエンスが必要だ。五輪で4回転を7本降りるなら金メダルだろうけど。バックスパイラルを入れたり、スプレッドイーグル以外の技を取り入れて欲しい。ネイサンのスプレッドイーグルは綺麗だし、美しい脚、バレエの素養が伺える素晴らしいボディポジションだが、もう少しバラエティが欲しい。羽生の楽曲はとてもいいが、FSはネイサンの振り付けの方がいいと思う。ネイサンはステップシークエンスで生き生きしている。

羽生はネイサンより氷上での存在感がある。見た目に何か特別なものを感じる。姿勢は最高ではないが、氷上で最高のオーラを放っている。ネイサンは昨季より大きく前進したが、まだそこまで行っていない。無理をしないリラックス系カリフォルニア男子のイメージを大事にしたい時期なのかもしれない。そして、それがネイサンのメンタルにプラスになっているのかも。でも、もっと大きな大会では髪をカットし、衣装を変えて本気を見せよう。勝ちに来たってところを。

羽生のプロはエンディングが素晴らしい。ネイサンのエンディングももっとインパクトが欲しい。（『SEIMEI』は）ダーンダンダ・ダーンダンダ♪とノリがいい。昨季の『ホープ＆レガシー』を選ばなくて良かった。あのプロには『SEIMEI』のような見せ場が無かった。

3度目の再演となる羽生のSPに怒りの声もあるが、一つ確かな事がある。冒頭、ブラケットからエッジを長く保ったまま滑走する振り付けはとてもよくできていて、目が奪われる。あのSPには見せ場が多い。羽生が見せ場を作ったのに対し、ネイサンはすべき仕事をした。ネイサンのFSには見せ場がいくつかあったが…。タラ・リピンスキーとミシェル・クワンの違いに似ている。今のネイサンの滑りはタラで羽生はミシェル。僕（デイヴ）はミシェル派だ。

二人とも今後4回転を増やすとともに、次の大会では磨きをかけてくるだろう。今回は二人ともFSで着氷に失敗が出て雑だと思った。どちらが勝っても妥当だと感じた。五輪シーズンは一つの成功が全てじゃない。それがどう繋がって行くかだ。だから練習段階って感じ。どちらが勝つかネットでは大騒ぎで感情的になっているけど、どちらもまだピークに達してない。二人とも4回転がパンクして2回転になったジャンプは、目も当てられないほど酷かった。羽生は4Sの着氷がシットスピンのようになった。羽生とネイサンの最高の演技が早く観たい。本当に美しいから。

日本のファンダムが特殊なのは知っているけど、あれだけの観客がチケットを買い上げて（ロシアに）やって来るなんて凄い。僕らはオータムクラシックに行けなかった。日本のファンが全種目チケットを買い上げちゃったから。一部しか見ない人もいたのに。同じことがマルセイユのGPFでも起きた。行きたかったけどね。それにしても羽生はよくやっていると思う。騒がれると自分を見失ってしまうけど、彼は動じない。真央もそうだったけど。お母さんがしっかりしているからだ。ミセス本田やミセス羽生のことを知りたい。知っている人は教えて欲しい。

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以上です。観客がかぶっていたプーさんの帽子がみつからないので、誰か送ってくれたらGPFや全日本の放送で二人がかぶります、とデイヴが言っていました。ジョナサンが「僕はイーヨー顔だけど」と返したのが可笑しかったですｗ

いつもいつも丁寧にわかりやすく訳して下さって、本当にありがとうございます。
羽生選手とネイサンの戦い、どちらが勝っても納得できるものでしたよね。
ネイサンは18歳！その年齢を考えれば信じられないほどの力ある選手だと思います。今度どれだけ伸びていくか楽しみです。
が、4回転って二階から飛び降りるのと同じくらいの衝撃があるんですってね。それを何度も繰り返したら、体はどうなっちゃうんだろ？

拙訳にコメントをくださった方々、ありがとうございます。

遅くなりましたが、女子の方を一部ですが訳してみました。坂本花織、樋口新葉、エフゲニア・メドベデワ、カロリーナ・コストナー各選手の部分です。逐語訳ではなく、まとめです。意訳、省略ありです。ご参考までに…。誤訳の訂正や補足など歓迎です。

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坂本花織
基本的にジュニアから上がりたてで成長途上の選手。全日本では5-6位あたりになるだろう。坂本花織の良さが分かった。ジャンプを一本ミスした後、キスクラでショックを隠し切れなかった。あのような心構えが米国選手に必要だ。パフォーマンスレベルを上げるために。それでこそ勝負の世界でトップを極められる。

坂本花織の演技は明らかに（エフゲニア）メドベデワの日本版。或いはエテリ・トゥトベリーゼの日本版だ。マイムを入れているが、ロシア選手よりずっとキュート。なんだかチャーミングだ。

演技から物語性が伝わらない。『アメリ』を観てないと思う。ストーリーが入っているのは、始めと終わりの10秒ずつだけ。もっとストーリー性が欲しい。質は高い。だが、フィギュアスケートの世界は厳しい。五輪出場は無いだろうが、素敵なスケーターだ。ダンスを楽しめた。

樋口新葉
SPは良かった。ボンドガールはミスマッチだと思う。ストーリー性があるのは5秒ほどで、あとは無し。だが、この映画音楽は躍動感があり『シェヘラザード』より良い。力強く見える。

キャメルスピンが不細工。3＋3を2本入れているが、力強いアスリート路線で行くなら4回転や3A無しではインパクトが弱い。もし伊藤みどりに驚異的ジャンプ力や3Aが無ければ…新葉にはどちらも無いが…巻き足の見苦しいスケーターに過ぎなかった。だが、みどりには凄い武器があった。若葉が注目を浴びるには、もっと何かが必要だ。

エフゲニア・メドベデワ
練習では苦しんでいた。この日のメドベデワはベストではなかったが、この大会で負けるリスクは皆無だった。良い出来ではなかったのに『アンナ・カレーニナ』を演じたからロシアのジャッジは9.75をつけたのだろうか。ルールでは転倒があると10点はつけられないことになっている。だが、以前、資格停止処分を受けたベラルーシのジャッジはメドベデワに10点を複数つけていた。モスクワに住んでいるジャッジだ。メドベデワは素晴らしいし、現在、最高位の選手だが、これは10点の演技じゃない。

メンタルの強さが飛び抜けている。みんな優れた技術を持っているが、試合で常に成功させるメドベデワは凄い。転倒して笑って優勝した姿が何とも良かった。演技終了後、跳べる事を証明しようとしたのか、2Aを跳びそうになった。落ち着け（笑）。個性的で良い。五輪で応援したくなるようなメドベデワ特集をNBCでやって欲しい。

背が高くなり、色々と難しくなって来たと思うが、しっかりこなし健闘している。五輪後は競技に出ないと思う。五輪後の世選には出るかもしれないが。（身体変化があり）何とか踏みとどまっている。やり遂げるだろう。

カロリーナ・コストナー
これ以上無いほど良い演技を見せたが、PCSはメドベデワより3点低く付けられていた。少なくともPCSを出せと思った。

セリーヌ・ディオンの曲を演じたSPは凄く良かった。今大会、本当に楽しめたのはこのプロだ。以前よりずっと興味が持てた。ジャンプを着氷したからだろう。エネルギーも感じた。他のどの演技より美しかった。

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以上です。坂本花織選手の評価がグンと上がっていたのが嬉しいです。日本女子の五輪出場はどうなるか、まだ分かりませんね。D＆Jは、女子はロシアの三枠目と日本の二枠目に誰が入るか、自国の出場枠より気になると言っていましたｗ

FSFさま、いつも翻訳をありがとうございます。
本当にいつも感謝です。
私も羽生君がノーミスだと誰もかなわないと思います。
羽生君の氷上での存在感、オーラはハンパないですね。
ネイサンと同い年ぐらいにはもうすでにありました。
>羽生とネイサンの最高の演技が早く観たい、本当に美しいから
これが1番嬉しいです。
ネイサンの髪、衣装のことには笑ってしまいました。
SPのコレオシークエンスは
確かにスプレッドイーグルだけでは物足りないですね。

樋口さんのボンドガールはすごくカッコいいと私は思いますが…
坂本さんの評価もグンと上がってこれはとても嬉しいです。
いつも本当にありがとうございます。

ボンドガール、アデルのヴォーカルが入るところが好きです。
それとスクワットみたいなあれはカッコいいです。
あとは坂本さんのアメリの完成形をスケアメで待つのみです。