マーク・ゴロニツキー　世界ジュニア選手権2017　ショート演技　(解説：なし)

イスラエル選手権2019/2020を拝見した。

SP・FSを合わせ目立つミスはFSでの3Aのステップアウトのみ。
ジャンプなどの要素一つ一つを凄く確実に丁寧に行っている事が印象的だった。

特にSP、どの選手に対しても暖かい声援が有るアットホームな雰囲気の中での演技だったからか、所々振り付けが曲に遅れた所は有ったものの「STOP IT」の曲に合わせ、国内選手権の緊張感を全く感じさせない程凄く楽しそうに、全てのジャンプを軽やかに決め、リンクをいっぱいに使いながら生き生きと演技されており、拝見していて幸せな気持ちになった。
その演技時のFacebookに投稿された画像の表情にも、それが良く表れていた。

そしてジャンプ大会での4ループ。結果は転倒だったが、助走から直ちに無駄な力を全く消費せず跳び上がるフォームの綺麗さ、チャレンジ精神に驚いた。同時に、SNS上に投稿されていないだけで、本当はS.T以外の４回転も練習されているのかもしれないと感じた。
個人的には本心を言えば、フィギュアスケートはジャンプだけでなく、スピンステップ・構成点も非常に重要な要素であるから、あまりジャンプだけに囚われすぎないで欲しいと感じる。
ただ、どのジャンプ一つ一つの出来・ミスしても入りは綺麗で有るから、身体の調子がベストな時にこのまま練習・習得する事も非常に重要だと感じる。
負傷などが無い事を切に願い、ゴロニツキー選手の挑戦を応援している。

改めて、初優勝おめでとう。

ゴロニツキー選手はシーズンでの飛躍的な成長やISU主要国際大会での表彰台などは今の所無く、シニアのISU主要国際大会出場経験も非常に少ない。しかし、その中でもシーズンを追う事に着実に着実に成長されている事を私はちゃんと知っている。

この事(イスラエル選手権初優勝)もその一つ。

ゴロニツキー選手の成長スピードは本当に地道で、時にはそれが止まってしまわないか心配になったりうずうずする事も有った。しかし最近はそういう感情が無くなり、「それが、ゴロニツキー選手の歩みなんだ。いつか、それが実を結び、大きな花を咲かせて欲しい」。そう感じるようになった。

そしてその地道な歩みが、ゴロニツキー選手の滑りにも表れていると感じる。以前Twitter上で、ゴロニツキー選手の事を熱烈に応援されている方も呟かれていたが、ゴロニツキー選手の滑りは丁寧で実直。インパクトや派手さは無いが、それらを感じるゴロニツキー選手の滑りが私は一番好きだ。

ISU主要国際大会デビュー時から今日まで、ゴロニツキー選手は地道に着実に歩みを進めて来られた。特に2019～20シーズン。成績も向上し、次シーズンも楽しみに感じた。
しかしコロナウイルスがによる相次ぐ大会の中止が、ゴロニツキー選手の2020～21シーズンの、完全にシニアとしての大会への出場・成長機会を全て奪った。致し方無い事だった事は十分承知しており、危険から身を守られ安心した感情も有ったが、只でさえlSU主要国際大会出場経験も非常に少なく、それに追い討ちをかけるような出来事に、悲しく、やるせない感情になった。加えて、これはゴロニツキー選手に限った事ではないが、暫くの間は氷上練習も出来なかった。
これらの理由で、このシーズンは「空白の一年」となったと感じ、ゴロニツキー選手にとってマイナスでしかない一年だったと感じた。

しかし、それは間違いだった。確かにマイナスな面も有ったが、それだけでは決して無かった。
今年6月、練習中でさえも成功される事が厳しいだろうと感じていた４回転(S)を、初めて練習中で高い加点が見込める程美しく成功された。その数日後、4Tを着氷された。拝見した時は驚きと共に、「時間はかかったけど、ここまで来れたんだね」。そう感じて涙が出た。練習されている事は知っていたがそれが形となった事が、感無量で嬉しくて。同時に、「大会に全く出場出来ない間も、(４回転を形にする)努力をずっとしていたんだろうな」。そう感じ、「空白の一年」だと考えていたが全くそうで無かった事、大会に全く出場出来ない中で成長された事、その為にはプラスになった期間だった事が分かり気付かされ、自らの安易な考えをひどく反省した。

これから先、何が起こるかは全く分からない。大変な事・辛い事が有るかもしれない。

それでもそれを乗り越えて、ゴロニツキー選手のペースで、焦らず、地道な歩みを進めて欲しい。

そしていつか、それが実を結び、大きな花を咲かせる事を祈っている。

ゴロニツキー選手の努力が、歩みが実を結び、大輪を咲かせ、沢山の幸せが訪れますように。

祈。